研修ではできたのに、なぜ現場でやらないのか?元女将が教える、行動が変わる「接遇マインド」の落とし込み方

梅雨が始まる前から、真夏のような暑さが続いていますね。
先日、駅から徒歩10分ほどのところにある企業様へ研修に伺いましたが、到着した時には汗だくでした"(-""-)”
建物に入る前には少し汗を拭いてから入るのですが、それで止まるわけもなく、お化粧は取れとれで……。
「身だしなみについて、なんか言いにくいなあ」なんて思った次第です(^-^;

研修は完璧だったのに、現場に戻ると元通り…の謎

さて、近年は自社で研修を実施してスタッフの接遇力向上を行っているところも多いのではないでしょうか。
また、自社ではなく、わたくしどものような外部の研修講師に依頼しているというところも増えていると存じます。

しかし一方で、
「研修ではみんな熱心に聞いていたし、ロールプレイングも完璧だった。なのに、現場に戻ると元通り…」
なんてお悩みもよく耳にします。
特に、自社での研修や、外部講師でもまだ慣れていない方などで、よく陥りがちな罠です。

実はこれ、受講生のモチベーションだけが悪いのではありません。
もしかすると、研修の「進め方」に問題があるのかもしれません。

今回は、「研修では教えることを教えたのに、実務で活かされない」とお悩みの研修担当者や店長など、人材育成に関わる方々にぜひお読みいただきたい内容です。

あなたは「挨拶が大事な理由」を説明できますか?

さて、皆様は研修を実施する立場として、最も大切にしていることは何でしょうか。

私は、必ず「意味や根拠」を添えて伝えるということです。
なぜそれが必要なのか、なぜそれをするとダメなのか、ということです。

例えば皆様は、「挨拶」はなぜ大事なのか、スタッフに言葉で説明できるでしょうか。
私たちは幼いころから、「知っている人に会ったら、きちんと挨拶をしましょう」「何かを始める時や終える時には挨拶をしましょう」と教えられてきました。
だからこそ、大人になっても「挨拶は大事なもの」と当たり前に思い込んでしまいがちです。

しかし、その「なぜ?」を言語化して教えないと、現場では悲しいすれ違いが起きてしまいます。

元女将の私が経験した、マニュアルの「悲しいすれ違い」

私が女将時代、スタッフにこのような指導をしていました。
『お客様がいらっしゃったら、明るい笑顔で、相手に伝わる声で、元気よく「いらっしゃいませ」と迎えてください』と。

ある日のことです。
あきらかに弔事(ご葬儀など)帰りらしき団体様が、とても暗く、元気の無い様子でお越しになりました。

その時、あるスタッフが私の指導通りに動いたのです。
「いらっしゃいませ(満面の笑顔)!ようこそお越しくださいました!こちらへどうぞ!」 と、それはそれは元気に、歓迎の挨拶をしました。

そのスタッフは、教えられたことを忠実に、100点満点で実施しただけです。
しかし、そのお客様は小さくため息をついて、そのままお店を出て行かれてしまいました。

私は少し離れたところにおりましたので、すぐにそのスタッフに状況を聞き、胸が締め付けられるようなショックを受けました。
スタッフは何も悪くない。悪いのは、「笑顔で元気に」という【形(スキル)】だけを教えて、接遇の【本質(マインド)】を教えていなかった私だったからです。

もし、この挨拶の目的が「お客様を歓迎し、心地よくなっていただくため」という本質まで共有できていたら、そのスタッフはお客様の雰囲気を察して、トーンを落としたお出迎えができたはずです。

それ以来、私は何かを指導する際には、形を教える前に、まずはその本質の部分をしっかりと伝え、「そうする理由や根拠」をセットで理解していただくようにしました。

現在の研修講師でもこちらは徹底して行うようにしています。

現場で活きる「接遇マインド」を育てるために

接客の現場は、毎日が「想定外」の連続です。
マニュアル通りの言葉を当てはめるだけでは、お客様や利用者様の心に寄り添うことはできません。

本当に必要なのは、お辞儀の角度や挨拶のトーンといったスキル以上に、「目の前の方が今、何を求めているか」に自ら気づき、考えて動く【マインド】です。
勿論、「型」は重要です。
ただ、マインドが無ければ「型」は活かされません。

研修で学んだことを現場で活かしてもらうためには、受講生に「なぜこれが必要なのか」という意味と根拠をどれだけ深く落とし込めるかが勝負になります。

もし、自社での研修や日々の指導の中で、「形は教えているけれど、なかなか現場で実践されない」とお悩みの場合は、一度「意味や根拠を伝えるアプローチ」に変えてみてはいかがでしょうか。
スタッフの目の色や、現場での動きが少しずつ変わり始めるはずです。

「自社だけでは、どうしてもマニュアルの解説になってしまう」
「客観的な視点から、スタッフに接遇の本質を響かせたい」

そんなときは、現場を熟知した外部のプロを頼るのも一つの方法です。
当事務所では、元女将としてのリアルな経験をベースに、受講生が「自ら気づき、動き出す」ための接遇マインド研修を行っています。
現状の課題解決に向けた情報交換の場としても、まずはお気軽にご相談ください。