【飲食店マネジメント】「マニュアル通りに動かない」と嘆く前に。元女将の私が現場で貫いたスタッフ指導法
「いまのスタッフにどう指導していいかわからない」
「せっかく採用したのに、すぐに辞めてしまう」
「マニュアルを渡しているのに、その通りに動いてくれない」
飲食店の店長やオーナー、接客リーダーの皆さま、このようなお悩みを抱えていませんか?
マニュアルを整えても、人はそれだけでは動きません。
人に動いていただくために必要なことは、納得感です。
「なぜそれをするのか」「自分はどう関わるのか」という納得感が、スタッフの行動や定着率に大きく影響します。
こんにちは。桜H.Cの上田です。
現在は研修講師として活動していますが、かつては長年、日本料理店の女将として多くのスタッフを育ててきました。
「昔と今は時代が違うから、私たちの経験は通用しない」
そう諦めてしまう声を耳にすることがあります。確かに、昔ながらの「背中を見て育て」「言ったことをしてくれればいいから」というスタイルは、今の時代には響きにくくなっています。
しかし、「人はどうすれば動き、どうすれば離れていかないのか」という本質は、昔も今も大きくは変わりません。
今回は、私が女将時代に現場で実践し、確かな効果を感じていた「スタッフの心を掴み、自発性を引き出す3つの関わり方」をお届けします。
1. 「まずはしっかり聴く」:信頼関係の土台づくり
スタッフがマニュアル通りに動かない時、つい、
「なんでこの通りにやらないの?」
「こうするって言ったよね?」
と責めたくなってしまいますよね。
しかし、そこをグッとこらえて、まずは「見えている事実」だけを落ち着いて伝え、その後にスタッフの言葉を「しっかり聴く」ことから始めてみてください。
例えば、
「さっきのお客様対応、マニュアルとは少し違う動きになっていたね」
「何かやりづらさや迷いがあった?」
そんなふうに、否定ではなく確認から入ることが大切です。
近年は特に、「失敗すること」や「否定されること」に強い不安を感じる人が少なくありません。
また、分からないことがあっても、
「こんなことを聞いたら怒られるかもしれない」
「迷惑をかけるかもしれない」
と感じ、自分から質問できない方も多くいます。
今は、分からないことをAIや検索ですぐに調べられる時代です。
だからこそ、「人に聞く」という行為そのものに心理的ハードルを感じているケースも少なくありません。
その状態で頭ごなしに否定されると、「また怒られるかもしれない」という不安が先に立ち、本来聞くべきことまで言い出せなくなってしまいます。
だからこそ、
- なぜその動きをしたのか
- 困っていることはないか
- やりづらさを感じていないか
を、まずは最後まで聴く。
それだけでも、
「この先輩(店長)は、自分を否定せずに受け止めてくれる」
という安心感が生まれます。
そして、その安心感ができて初めて、こちらの言葉も届きやすくなるのです。
2. 「理由や根拠を添えて伝える」:「納得感」が人を動かす
「ここはこうして!」
その一言だけで動いてくれた時代は、少しずつ変わってきています。
今は、「なぜそれをする必要があるのか」という納得感が、とても重要です。
例えば、お皿の持ち方ひとつを伝える時も、
❌「それじゃダメ。こう持って」
ではなく、
⭕️「器のここに指をかけると、親指がお料理につきそうに見えてしまうし、落とす危険もあるから、この位置を持つと安定して持てます」
と、理由や根拠を添えて伝えます。
すると、単なる「注意」ではなく、「仕事に必要な知識」として受け止めてもらいやすくなります。
感情的に叱るのではなく、理由や背景をロジカルに伝える。
それだけでも、スタッフの反応は大きく変わっていきます。
3. 「できるかどうかを確認する」:命令ではなく“巻き込み”
指示や依頼をする時、一方的に「これやっておいて」で終わっていないでしょうか。
私が女将時代に特に大切にしていたのが、依頼の最後に「できそう?」と本人に確認することです。
例えば、
「今日のおすすめ、次のテーブルで言えそう?」
「このポジション、一人で回せそうかな?」
そんなふうに、一言「確認」を入れるだけです。
すると、単なる命令ではなく、「本人が引き受けた約束」に変わります。
もし、
「まだ少し不安です」
という返答があれば、フォローが必要なポイントも事前に分かります。
逆に、
「やれます!」
と答えたスタッフは、自分で決めたことだからこそ、責任感を持って動いてくれるようになります。
時代が変わっても、「人との関わり方」の本質は変わらない
「いまのスタッフは難しい」と一括りにして壁を作ってしまうのは、少しもったいないことかもしれません。
私たちに必要なのは、時代を嘆くことではなく、「関わり方」を見直すことです。
- まず言葉をよく聴く
- 指摘には理由や根拠を添える
- 「できるか」を確認しながら任せる
この3つは、私が日本料理店の女将として、現場で何度も向き合いながら大切にしてきたことです。
そしてもう一つ大切なのは、「叱る」だけで終わらせないこと。
スタッフが失敗した時こそ、上司やリーダーの腕の見せ所です。
例えば、
「○○についての行動は適切だったし、とても良かったよ。だけど、これに関してはこう対応できていたら、スムーズに△△できたんじゃないかな」
というように、“できていた部分”と“改善点”の両方を伝える。
するとスタッフ自身も、
「全部を否定された」
ではなく、
「自分を見てくれている」
と感じやすくなります。
人は、否定だけでは育ちません。
認められながら、改善点を理解できた時に、初めて「次は頑張ろう」と前向きに動けるのだと思います。
まずは今日、
「最近どう?困っていることない?」
という一言から始めてみませんか?
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